広告制作の業務は、生成AIの登場によって大きな革命がもたらされました。
広告制作にかかる時間とコストの大幅な削減、新しいアイデアの誕生、効果的な広告キャンペーンなど生成AIを活用して得られるメリットはたくさんあります。
一方でAI広告は、未だすべての人に受け入れられているわけではありません。
この記事では日本マクドナルドのAI広告炎上を事例に、指摘された理由や改善策を徹底解説、その上で生成AIを広告に活用するメリットを紹介します。
最後まで読んで、「生成AIの活用を考えている」「広告制作を効率化したい」とお考えの中小企業担当者様、疑問を解決していきましょう。
マクドナルドのAI広告が大炎上!?
マクドナルドのCMは時代の流れをつかむものが多く、旬のアーティストたちが多く起用されてきました。
そんな中、日本マクドナルドがアップしたプロモーション動画に批判が殺到し、大炎上を起こしています。
いったいなぜなのでしょうか。
炎上したマクドナルドのAI広告とは
(提供:日本マクドナルド公式Xより)
日本マクドナルドが公式X上にアップした、マックフライドポテトのプロモ―ション動画が炎上しています。
この動画の最大の特徴は、生成AIを用いているということです。
マックフライドポテトを手にした女の子たちが次々と画面に登場するといった広告ですが、彼女たちは生成AIをつかって生み出された人物です。
一見、何の問題もありそうでない広告が、なぜ炎上騒動を巻き起こしたのでしょうか。
マクドナルドのAI広告を作成した人は誰?
このAI広告を作成した人物は、架空飴(かくあめ・KakuDrop)と名乗る生成AIの映像作家で、日本人の女性ということ以外は非公表となっています。
彼女は、現実と架空の境がないように生成AIを使って表現するのが得意なアーティストで、その実力は海外でも認められています。
2023年にはニューヨークと東京で、2024年にはフランスのパリでも展示会を開催しているほどの実力者です。
マクドナルドのAI広告がなぜ、大炎上したのか
ではなぜ架空飴氏が手がけたマクドナルドのAI広告は大炎上してしまったのでしょうか。
近年、広告に生成AIを取り入れる企業は増えています。
今回のようにAI広告への批判を受ける事例がある一方で、好意的に受け取られる企業CMもあり、その差が何なのか注目されています。
【好意的に受け取られたAI広告事例】
- 伊藤園「お~いお茶 カテキン緑茶」
- 大日本除虫菊「キンチョール“ヤング向け映像”篇」
- シャープ「AQUOS」
- マッチングアプリ「オタ恋」
【批判を受けたAI広告事例】
- 映画レビューサイト「Filmarks」
- 米GoogleのAI「Gemini」
- 日本マクドナルド「フライドポテトプロモーション」
そもそも生成AIによる広告制作は以前から多くの問題を抱えていると言われています。
ではマクドナルドの広告が大炎上してしまった理由は何なのでしょうか。
マクドナルドのAI広告が大炎上した理由①クリエイターの仕事を奪った
マクドナルドはこれまでも、話題にのぼるCMを多く制作してきました。
なかでも2023年9月に公式Xで投稿された広告アニメーションは、このCMが商業デビューとなる新人イラストレーターを起用し、「マクドナルドはクリエイターの味方」と高い評価を受けていたのです。
こうした経緯があったうえでの生成AIによるCM制作であったため、「クリエイターの仕事を奪った」と感じた視聴者が多くいたと言われています。
マクドナルドのAI広告が大炎上した理由②パクリ・盗作疑惑
生成AIはネット上にある膨大なデータを取り込んで学習し、新たな成果物を生み出す技術です。
一部の人たちの間では、「全世界のクリエイターをパクリ・盗作した」と批判する論争も起きているほどです。
マクドナルドのCMが何かを盗作したりパクったりしたわけではありませんが、生成AIを活用するということはこうした批判を浴びやすくなります。
マクドナルドのAI広告が大炎上した理由③「気持ち悪い」「不自然」
マクドナルドのAI広告を制作した架空飴氏は、映像の美しさと高いクオリティに定評があります。
もちろんCMに登場するAIモデルも、本物のような女性ばかりです。
しかし、なんとなく違和感を感じる画像もあり、自分にとって身近なマクドナルドのポテトを汚されたように感じる人も少なくなかったようです。
広告制作に生成AIを活用するのならば、生成AIの技術的進化によって、より人間に近い映像を作り出せるようになった故に起こる問題もあるということを念頭に置いておきましょう。
なぜ、AI広告は不気味、気持ち悪いと思われるのか?
今から50年以上前の1970年、ロボット工学者の森政弘氏が書いたのが「不気味の谷」という本です。
この本には「人々は、人間らしいロボットに好感を抱くが、あまりに人間に近づきすぎると今度は不気味さを感じるようになる。さらに進化して人間とほぼ区別がつかなくなるとまた好感を持てるようになる。」といった内容が書かれています。
この“不気味の谷現象”は、ロボットやAI広告などでたびたび取り上げられ、問題提起されています。
AI広告が不気味と言われる理由①指が6本あるように見える
マクドナルドのAI広告は、TVCMではなく公式Xアカウントで動画が公開されたものです。
その一部で女の子の指が6本あるように見える場面があり、SNSでまたたく間に画像が拡散して炎上する騒ぎの一端となりました。
ただしAI広告すべてにおいて、視聴者が批判的なわけではありません。
過去には、伊藤園「お~いお茶 カテキン緑茶」や大日本除虫菊「キンチョール“ヤング向け映像”篇」など、AI広告でありながら世間から好評だった実例もあります。
とくに伊藤園のAI広告に登場する女性タレントは、AIであると気づかない視聴者も多く、幅広い世代で好印象であったと言われています。
TVCMという不特定多数の人の目に触れる広告は、人に不快感を与えないよう細心の注意を払って制作されるのが一般的です。
CMの内容や伝えたい背景に指摘が入ることもあれば、映像そのものに不快感を感じるケースもあります。
今回炎上したマクドナルドのAI広告は、公式Xアカウントという特定のSNSに向けて発信された広告です。
そもそもAIを活用したCMというのは、コストカットや時間短縮といった目的で作られることが多いでしょう。
もちろん制作側で最終チェックを入れることは間違いありませんが、特定のSNSで発信されたAI広告ということで、公共の電波にのせるTVCMよりもチェック体制が緩やかである可能性は否定できません。
実際に公開された広告の下部には「本件映像は生成AIにより制作しています」という記載があり、日本マクドナルド側も“不気味の谷現象”をある程度予測していたとも考えられます。
AI広告が不気味と言われる理由②映像に一貫性がない
マックフライドポテトのAI広告が炎上したもうひとつの理由が、「映像に一貫性がない」という点です。
“かわいい女の子がポテトを手にしている”という一貫性はありますが、そもそもこのAI広告はフライドポテトをみんなでお得に食べてほしいという意図があったはずです。
しかしこのAI広告には「こういう場面でポテトを食べてほしい」「こんなときにポテトを食べたくなる」といった制作側の意図を感じることはできません。
また視聴者自身が過去にポテトを食べたときの、リアルな思い出にもつなげにくい映像です。
“かわいい女の子がポテトを手にしている”という単発の映像ひとつひとつにはマクドナルドからの思いを伝える一貫性がなく、ただAIで生成した単発的なシーンをつなぎ合わせただけの広告になっている、そのことが気持ち悪さにつながったのではないかとも言われています。
生成AIを広告に活用するメリット
マックフライドポテトのAI広告が炎上したように、生成AIを用いた広告制作は確かにデメリットが存在します。
しかしAI広告で得られるメリットは少なくありません。
では具体的に生成AIを広告に活用するメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
生成AIを広告に活用するメリット①トレンドに乗っていると思われる?
対話型AI「ChatGPT」が登場してからというものの、生成AIが活用できる場面は大幅に広がっています。
テレビCMやデジタル広告などの分野でも生成AIを用いたAI広告を活用する企業は増えており、時代の流れはAI活用に大きく舵を切っているのです。
AI広告は人々に好意的に受け止められるか炎上してしまうか、どちらの要素も含む分野です。
しかしながら「AIを活用している」という点においては、話題性を含んだトレンドに乗っていると言えるのかもしれません。
生成AIを広告に活用するメリット②クリエイティブ制作時間の短縮
生成AIを広告制作に活用する大きなメリットは、クリエイティブ制作時間の大幅な短縮といってもいいでしょう。
今までデザイナーが手作業で数週間かけて行ってきた作業を、生成AIは数十分から数時間で終わらせることができます。
しかも労働条件等の縛りがなく24時間稼働する生成AIなら、一晩でいくつものデザインを完成させ、あとは担当者が選ぶだけという状態まで持っていくことが可能です。
生成AIを広告に活用するメリット③制作に必要なコストの削減
AI広告は、広告制作に必要なコストの削減が期待できます。
一般的な広告制作の現場では、多くのデザイナーやクリエイターが働いており、人件費だけでも多くのコストがかかります。
AI広告であれば、生成AIを扱う人員をひとり雇うだけで制作が可能であり、制作にかかる人的リソースも人件費も大幅にカットできるでしょう。
生成AIを広告に活用するメリット④デザインの幅が広がり、広告効果も上がる
生成AIが生み出すデザインは無限です。多くのクリエイターが携わるチームであっても、人の生み出すアイデアには限界があります。
人の出すアイデアには偏りがあり、従来の型を打ち破るアイデアが出ないことも考えられます。
生成AIはひとつの広告に対して、数百種類ものデザインを短時間で生成することが可能です。
思いもよらなかったアイデアのデザインが生み出されることも考えられるでしょう。
また生成AIは過去の広告やデータを分析し、より広告効果の高いAI広告を制作できます。
多くの選択肢の中から、より効果の高い広告を選ぶことが可能なのです。
生成AIで広告、ちらしを作成するなら写真AI
生成AIはさまざまな場面で活用が広がっており、広告制作業務においても例外ではありません。
生成AIを活用することで、広告制作に関する時間やコストは大幅に削減でき、より効果的な広告を生み出すことが期待できます。
しかし精度の高いAI広告を生み出すためには、生成AIを正しく理解して使いこなすことが重要です。
無料の生成AIツールを使って作業することもできますが、そのためには生成AIに精通する人材の確保が必要となります。
IT人材、なかでもAI人材を確保できる企業なら問題ありませんが、多くの企業は生成AIを使いこなす人材を自社で抱えることは難しいでしょう。
株式会社 Beyond AIが提供する「写真AI」サービスは、生成AIのプロフェッショナルが手がける写真生成サービスです。
Beyond AI社専属のオリジナルAIモデルによる着用画像を用いた広告、生成AIによる背景画像を組み合わせた商品画像など、最先端のAI技術を活用した広告写真を提供しています。
生成AIの技術は日々進化しており、広告制作でもメリットが得られるでしょう。
一方で炎上リスクもはらむAI広告は、細心の注意を払って制作する必要があります。
「写真AI」では、生成AIのプロフェッショナルが広告画像を制作しますが、最終的な細かい修正や微調整は人の手を介して作業するハイブリッド型を採用。
お客様の要望に合わせて、高品質な広告写真を提供できるのが最大の強みです。
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